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川西市の皮膚科・形成外科による解説|乳房外パジェット病

クリニックコラム

乳房外パジェット病(EMPD)は、外陰部・会陰部・肛門周囲・脇の下など、アポクリン汗腺の多い部位に生じる皮膚がんの一種です。初期段階では湿疹や皮膚真菌症(いんきんたむし等)と非常に酷似しているため、「市販の塗り薬や一般的な処方薬を使っても長期間改善しない湿疹」として発見されるケースが少なくありません。

適切な治療を行わずに放置すると、病変が緩やかに拡大するだけでなく、真皮深層へと浸潤し、リンパ節や他臓器へ遠隔転移をきたす可能性が生じます。当院では、早期の皮膚生検(組織検査)による確実な確定診断を最優先に考え、診断後は専門的な手術や全身精査が可能な大学病院やがん専門機関へ速やかに連携・ご紹介する体制を整えています。

当院で行う初期診断プロセス

1. 視診・ダーモスコピーによる詳細な評価

特殊な拡大鏡(ダーモスコープ)を用いて、病変の色調や表面の構造、境界の広がりを詳細に観察します。ただし、視診のみでは湿疹との完全な鑑別が困難なため、確定診断には至りません。

2. 皮膚生検(組織検査)による確定診断

確定診断のためには病理学的な確認が不可欠です。局所麻酔を施した上で病変の一部を採取し、顕微鏡下で特有の「パジェット細胞」の有無を調べる臨床検査(保険適用)を行います。

※マッピング生検について
病変が広範囲に及ぶ場合や境界が不鮮明な場合は、正確な切除範囲を計画するために、複数箇所から組織を採取する「マッピング生検」を高次医療機関にて実施することがあります。

診断後の病期評価と重複がんの確認

確定診断が得られた後は、適切な治療方針を決定するために以下の詳細な精査が必要となります。

  • 浸潤度およびリンパ節転移の評価:病変の深さ(表皮内留まりか深層浸潤か)やリンパ節への影響を確認します。必要に応じて、紹介先の専門病院にてセンチネルリンパ節生検などが検討されます。
  • 重複がん(消化器・泌尿器系など)のスクリーニング:乳房外パジェット病は、発生部位によって内臓悪性腫瘍を併発しているケースが存在します。特に肛門周囲に発生した場合は、大腸や直腸に関連する詳細な内視鏡検査等の併施が極めて重要です。

高次医療機関での治療と当院の連携方針

外科的切除(マージンコントロールの重視)

乳房外パジェット病の根本的な治療は、病変の外科的切除です。一見正常に見える周囲の皮膚へ細胞が潜伏していることがあるため、高度医療機関ではマッピング生検や術中迅速病理組織診断などを組み合わせ、再発リスクの低減を目指した精密な手術が行われます。

形成外科的再建(植皮術・皮弁作成術)

外陰部や肛門周りは、術後の生活品質(QOL)や排泄機能の保全が欠かせません。広範囲な切除が必要となった場合には、組織を移植・移動させる補填術が必要となります。当院では適切な構造・機能再建に対応できる高度な形成外科設備を備えた医療機関へご紹介いたします。

進行例や手術が困難な場合の治療選択肢

ご持病やご年齢により広範囲の手術が困難な場合は、高次医療機関において根治的放射線治療が検討されることがあります。また、特定の条件を満たす上皮内病変に対しては外用療法(イミキモド等)、遠隔転移を伴う場合は全身性薬物療法(化学療法、分子標的薬、免疫療法など)が状況に応じて選択されます。

受診にあたってのご注意・セルフケア

⚠️ ご注意いただきたいポイント

  • 市販薬の自己判断使用を控える:市販のステロイド軟膏や白癬治療薬を安易に使用し続けると、一時的に見た目が変わり、適切な検査・確定診断を遅らせる要因となります。
  • 患部への刺激・摩擦を避ける:強くこすり洗いをすることや掻き壊しは、二次感染や症状悪化につながります。入浴時はぬるま湯で優しく洗い流し、清潔を保ってください。

当院における診療フロー

  1. 問診・視診:症状の経過、これまでの外用薬使用歴、病変の広がりを詳細に診察します。
  2. 皮膚生検(保険適用):局所麻酔下で安全に組織の一部を採取し、病理検査へ提出します。
  3. 結果説明(約1〜2週間後):病理組織診断に基づき、確定診断の結果を分かりやすくご説明します。
  4. 高次医療機関への迅速な紹介:最適な治療を受けられるよう、大学病院等の専門外来への紹介状を作成します。
  5. 治療後のアフターフォロー:基幹病院と密に連携を取り、必要に応じて地域の受診窓口として経過観察をサポートします。

よくあるご質問(Q&A)

Q. デリケートな部位で受診しにくいのですが、相談しても大丈夫ですか?
A. もちろんでございます。乳房外パジェット病は外陰部や肛門周囲などの患部に多く発生するため、受診を躊躇して診断が遅れるケースが多々ございます。些細な違和感でもどうぞ気兼ねなくご相談ください。
Q. 皮膚生検は痛いですか?傷跡は残りますか?
A. 事前に局所麻酔を丁寧に行いますので、採取中の痛みには徹底して配慮いたします(最初の麻酔注射時にわずかな刺激があります)。採取部位には小さな痕が残りますが、時間の経過とともに目立ちにくくなっていきます。
Q. どのような症状で「皮膚生検が必要」と判断されますか?
A. デリケートゾーンや肛門周辺の湿疹が長期間改善しない、塗り薬を使っても繰り返し再発する、境界が曖昧なまま徐々に広がる、あるいは継続的なただれ・痒みがある場合は、生検による精密診断が必要と判断されます。
Q. 確定診断がついたら、すぐに総合病院へ移動する必要がありますか?
A. 本疾患は詳細な病期評価や専門的な手術を要することが多いため、確定診断後は高次医療機関での一元的な治療が推奨されます。当院は早期発見・正確な診断と、患者様のご都合に応じたスムーズな橋渡しに専念しております。
Q. 手術では、常に大きく広範囲に切除するのでしょうか?
A. 目に見えない病変の広がりを抑える配慮は不可欠ですが、画一的に切除幅を決めるわけではありません。マッピング生検や術中病理評価を行いながら、患部の機能性や審美性を最大限尊重した計画が立てられます。
Q. 内臓のがんに関する検査は、受診者全員に必要なのですか?
A. 発生部位や個別の症状・所見に応じて必要性が判断されます。とりわけ肛門周囲の病変では大腸・直腸などの病変との関連が一定数報告されているため、慎重な精密検査をご案内する場合があります。

※本記事は医療情報の一般的な提供を目的としています。市販薬を使用しても治りにくい皮膚症状や赤みがある場合は、自己判断せず早めに医療機関へご相談ください。

🏥 当院のご案内

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【医師監修・執筆】

院長:山田 信幸(やまだ のぶゆき)

  • 医学博士
  • 日本形成外科学会 形成外科専門医
  • 日本レーザー医学会 レーザー専門医
  • 日本救急医学会 救急科専門医
  • 日本熱傷学会 熱傷専門医

川西市にて「やまだクリニック」を開院し18年以上。皮膚科・形成外科・美容外科領域において豊富な日帰り手術・レーザー治療実績を持つ。

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