魚鱗癬(ぎょりんせん)の治療について
魚鱗癬(ぎょりんせん)
治療の基本方針
魚鱗癬(ぎょりんせん)は、皮膚の表面の角質が正常に剥がれ落ちずにお肌に蓄積してしまい、全身の肌がまるで「魚のウロコ(鱗)」やひび割れた泥の大地のようにガサガサになり、ポロポロと剥がれ落ちてしまう疾患です。多くは生まれつき(先天性)の遺伝的な背景により、皮膚の潤いを保つ成分やバリア機能を作る遺伝子の一部の働きが弱いことが原因です。当院の基本方針は、「最新の医学的エビデンスに基づき、お肌のバリアを外側から完璧にバックアップし、カサカサ感や痒みのない、しっとりとした健やかな肌バリアを持続的に再構築すること」です。これまでの豊富な臨床データに基づき、患者様やお子さまが日々の社会生活を健やかに、笑顔で送れるよう、毎日のスキンケアを実直に支え続けます。
こんなお悩みはありませんか(チェックリスト)
- ・生まれつき、あるいは赤ちゃんの頃から、全身の肌が乾燥してウロコ状にひび割れている
- ・腕の前面や太もも、背中の皮膚が硬く茶色っぽくなり、衣服を脱ぐと白い粉が大量に舞う
- ・冬場になると乾燥が尋常ではなくなり、全身がチクチク・ムズムズと激しく痒む
- ・市販のボディクリームやオイルを全身にいくら塗っても、すぐに乾いて元のガサガサに戻る
- ・長期にわたる疾患だからこそ、副作用の心配がない誠実な治療とスキンケアのノウハウを知りたい
主な特徴・治療法
バリア機能を補完する「医療用保湿剤」のオーダーメイド処方:水分を強力に保持する「ヘパリン類似物質」や、皮膚の表面に安全な油分の膜を張って水分蒸発を徹底防衛する「白色ワセリン」など、お肌の状態や好みの使用感に合わせて的確に使い分けます。
角質を優しくほぐす角質軟化療法:ウロコ状に重層化してしまった角質を優しく取り除くため、尿素軟膏やサリチル酸ワセリンなどの医療用軟膏を適切に組み合わせ、ゴワゴワした皮膚を滑らかに整えます。
発汗障害(熱のこもり)への適切な生活指導:魚鱗癬の患者様は、角質が厚いために汗が出にくく、夏場に体内に熱がこもって熱中症のようになりやすい性質(発汗低下)があります。季節ごとの安全な過ごし方を丁寧にお伝えします。
治療の流れ(魚鱗癬)
①丁寧な全身の皮膚診察 全身のウロコ状の皮膚の分布、厚み、痒みの程度を優しく観察。乾燥の度合いを評価し、他の乾燥性皮膚疾患との識別を行います。
②病態(バリア機能の低下)の誠実な解説 なぜお肌がウロコ状になってしまうのか、皮膚の角質が剥がれ落ちるサイクルの仕組みを、医学的根拠に基づいて分かりやすく説明します。
③強力な保湿剤 ➔ 角質軟化薬の適切な処方 お肌のベースを潤すたっぷりの医療用保湿剤と、硬い部分をほぐす軟膏を的確にセレクトして処方します。
④「お風呂上がりのスキンケア」実技指導 保湿剤の効果を最大限に引き出すタイミング(お風呂上がり水分が残っている10分以内)や、お肌を摩擦しない正しい手のひらでの塗り方を、診察室にて丁寧にお教えします。
⑤長期的な経過観察・季節ごとのコントロール 魚鱗癬は末長いお付き合いが必要な疾患です。夏場の発汗対策、冬場の乾燥強化など、季節の変動に合わせたスキンケアプランを、地域のかかりつけ医として生涯にわたり責任を持って調整し続けます。
- ・お肌のバリアを外側から強固に再構築する、医療用高機能保湿・軟化療法
- ・夏場の発汗低下(熱のこもり)などを見据えた、安全なトータル生活指導
- ・保険診療(※原則としてすべての標準的な保湿治療・角質軟化治療に健康保険が適用されます)
よくあるご質問(Q&A)
Q. 毎日お風呂でウロコのような皮膚をゴシゴシ擦って洗い落とした方が良いですか?
A. 絶対にナイロンタオルやスポンジでゴシゴシ擦り落とさないでください。ウロコのように見える皮は、無理に擦って剥がすと、皮膚のさらに深い生きた組織まで傷つけてしまい、激しい炎症や出血、細菌感染の原因になります。お風呂では、石鹸をしっかりと泡立てて「ご自身の素手(手のひら)」で優しくなでるように洗うだけで、余分な角質は自然に落ちます。洗ったあと、まだお肌が湿っているうちに処方された保湿剤をたっぷりと塗っていただくことで、硬い皮は無理なく自然に柔らかく剥がれ落ちていきます。