川西市の皮膚科・形成外科による解説|基底細胞癌
基底細胞癌(皮膚の悪性腫瘍)とは?当院の治療方針
基底細胞癌(きていさいぼうがん)は、皮膚がんの中で最も頻度が高いタイプの「皮膚の悪性腫瘍」です。
初期の段階では、黒色から黒褐色の小さなふくらみとして見つかることが多く、一見すると一般的なホクロやシミのように見えることがあります。
基底細胞癌は、他の臓器へ転移することは非常にまれであるとされていますが、放置してしまうと周囲の皮膚や筋肉などの組織を壊しながら、深く広がっていく性質を持っています。そのため当院では、再発を防ぐための「外科的切除(手術)」を最優先とした治療を行っています。
こんな症状はありませんか?(セルフチェック)
次のような「できもの」がある場合、単なるホクロやシミではない可能性があります。
○ 最近できた黒いホクロのようなものが、少しずつ大きくなっている
○ 中央がへこんだり、かさぶたができたり、じゅくじゅくして傷や潰瘍のようになっている
○ ふちの部分が、細かな黒い粒の集まりのように見える
○ 特に刺激を与えていないのに、繰り返し出血する
○ 鼻、目のまわり、頬、頭など、日光(紫外線)が当たりやすい場所にできている
○ 「治ったと思っても同じ場所にまたできる」「同じ部位の傷がずっと治らない」
これらに該当する場合や、少しでも気になる場合は、自己判断で様子を見ずに、お早めに医療機関を受診してください。
当院で行う治療
1)診断:ダーモスコピーと病理検査
まずはダーモスコピー(特殊な拡大鏡)を使用し、基底細胞癌に特徴的な視覚的所見があるかを確認して診断の精度を高めます。
最終的な確定診断は、切除した組織(または一部を採取した組織)を顕微鏡で詳細に調べる「病理組織検査」によって行います。この検査により、がんの正確な種類を特定するとともに、「腫瘍が残さず取り切れているか(断端が陰性であるか)」を客観的に評価します。
根本治療としての手術(外科的切除)
基底細胞癌の治療において最も確実性が高いとされるのは、腫瘍の周囲に適切な余白(安全域・マージン)をつけて切除し、病理検査で取り残しがないことを確認する方法です。
1)安全域(マージン)を確保した切除
目に見える腫瘍の範囲だけでなく、周囲に肉眼で見えないレベルで広がっている可能性を考慮し、余裕を持った範囲を含めて切除します。ガイドライン等に基づき、腫瘍のリスク度合い(低リスクでは3〜4mm、高リスクでは可能であれば少なくとも5mmなど)を目安として適切なマージンを設定します。
2)顔などの部位における「傷跡を目立ちにくくする再建」
特にお顔などの目立つ部位においては、切除後の欠損に対して以下のような形成外科的手法を組み合わせ、機能面と見た目の美しさの両方に配慮した再建を行います。
○ そのまま丁寧に縫い合わせる(単純縫合)
○ 周囲の皮膚を移動させて覆う(皮弁作成)
○ 他の部位から皮膚を移植する(植皮術)
3)再発リスクが高い場合の手術検討
腫瘍と周囲の境界がはっきりしない場合や、再発例、浸潤型、あるいは顔面の重要部位(目・鼻・口のまわりなどのHゾーン)に位置する場合は、顕微鏡で切除断端に腫瘍が残っていないかを確認しながら進める手術方法を慎重に検討します。
「レーザー・液体窒素・ぬり薬」を最初に選ばない理由
レーザー照射や液体窒素による冷凍凝固といった“組織を破壊する治療”や、外用薬による治療は、「切除した断端にがんが残っていないか」を病理検査で確認できないという大きなデメリットがあります。
そのため、外科的切除に比べて治療の失敗(取り残し)や将来的な再発のリスクが高いことが知られており、医療ガイドラインでも原則として手術が優先されます。
※ただし、ご高齢や全身状態の理由で手術が難しい場合、あるいは患者様が手術を希望されないなど特別な事情がある「低リスク」の一部症例においては、代替治療として検討される場合があります。その際も、メリットとデメリットを丁寧にご説明いたします。
日常生活のポイント(再発や新しい発生を防ぐために)
○ 紫外線対策:長年の紫外線曝露が発症に深く関わっていると考えられています。日焼け止めクリームの使用、帽子、日傘、サングラスなどの着用により、日常的な防護を心がけてください。
○ 自己チェック:ホクロやシミの形状・色の「変化」を定期的に観察しましょう。気になる変化を早期に発見することは、将来的な切除範囲を小さく抑え、心身や傷跡への負担を減らすことにつながります。
高次医療機関へのご紹介について
当院では、患者様の安全と治療の確実性を第一に考えております。そのため、以下のようなケースに該当する場合は、より専門的な設備や全身管理、集学的治療が可能な高次医療機関(大学病院や総合病院など)へ速やかにご紹介させていただきます。
○ 腫瘍が非常に大きく、広範囲の切除や大規模な再建が必要となる場合
○ 目、鼻、口などの重要部位の深部に及んでおり、筋肉や骨への浸潤が疑われる場合
○ まれではありますが、リンパ節や他臓器への転移が疑われる場合
○ 全身の持病などの関係で局所麻酔下の手術が難しく、放射線治療や全身的な薬物療法を検討する必要がある場合
治療の大まかな流れ
1. 診察・ダーモスコピーによる評価
2. 治療計画(切除範囲・縫合や再建の方法・術後の通院など)のご説明
3. 手術(局所麻酔):安全域をしっかりと確保して切除し、必要に応じて再建を行います
4. 病理結果の確認:通常1〜2週間程度で結果が判明し、取り切れているかを評価します
5. 経過観察:再発や、他の部位に新しい病変が起きていないかを定期的にチェックします
よくあるご質問(Q&A)
A. 基底細胞癌の治療において最も確実性が高いアプローチは、「手術で病変を取り切り、それを顕微鏡(病理検査)で確認すること」だからです。レーザーなどで組織を壊してしまう治療やぬり薬は、取り残しの有無を目で確認できず、手術に比べて再発や加療失敗のリスクが高まることが報告されています。
A. 基底細胞癌が他の臓器などに転移することは非常にまれであるとされています。ただし、治療せずに放置すると、周囲の健康な皮膚や深いところにある組織を壊しながら広がっていく性質があるため、命に関わる事態を防ぐためにも早期の正確な診断と適切な治療が大切です。
A. 手術は局所麻酔をしっかりと行いながら進めますので、術中に痛みを感じることは通常ありません(最初に麻酔の注射をする際のチクッとした痛みはあります)。傷跡に関しては、がんを残さず切除するという目的上、どうしても生じますが、特にお顔などの場合は形成外科的な知見に基づき、できるだけ目立ちにくく自然な仕上がりになるよう細心の配慮をいたします。
🏥 当院のご案内
📅 診療のご希望や、基底細胞癌の治療についての診察相談は、
当院が初めての方は電話(072-758-8125)で、
当院を受診したことがある方は [>>Web順番受付] をお気軽にご利用ください。