川西市の皮膚科・形成外科による解説|アトピー性皮膚炎の治療について
アトピー性皮膚炎の治療方針:
基本のスキンケアから最新治療まで
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹をくり返す皮ふの疾患です。体質(アレルギーの起こりやすさ)や、皮ふのバリア機能(うるおいを守る力)の低下に、汗・乾燥・こすれ・環境の変化などが重なって悪化しやすくなります。
当院では、一時的にかゆみを止めるだけでなく、「今なぜ悪化しているのか」(乾燥、汗、洗い方、塗り方、生活リズム、感染の合併など)を丁寧に確認しながら、再発しにくい治療を患者様と一緒に組み立てていきます。
1. アトピー性皮膚炎治療の基本(保湿と外用薬)
治療の土台となるのは、「保湿によるスキンケア」と「炎症を抑えるぬり薬」の組み合わせです。
○ 毎日の保湿(スキンケア)
皮ふのバリア機能を補うため、毎日の保湿は治療の重要な土台となります。
○ 炎症を抑える外用薬(ぬり薬)
○ ステロイド外用薬:炎症を速やかに落ち着かせる中心となる治療です。症状や部位に合わせて適切な強さを選択します。
○ ステロイド以外の外用薬:顔や首など、ステロイドの使い方に工夫が必要な部位では、タクロリムス外用薬などを使用することがあります。
2. 再発を減らす「プロアクティブ療法」
湿疹が良くなった後も、よく再発する場所に週2回程度、外用薬を間欠的に塗布することで、目に見えない皮ふの下の炎症を抑え、再発の回数を減らしていく治療法です。
○ 飲み薬(必要な場合)
夜間の激しいかゆみで眠れない時などに、かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)を補助的に処方することがあります。なお、湿疹そのものを落ち着かせる中心は外用治療となります。
3. 中等症~重症向けの「新しい治療」(バイオ製剤・JAK阻害薬)
従来の外用治療やスキンケアだけでは十分なコントロールが難しい中等症~重症の患者様には、全身の炎症を抑える新しい選択肢を検討します。
○ バイオ製剤(注射の治療)
体の中でアレルギーや炎症を引き起こす特定のシグナル(合図)をピンポイントでブロックするお薬です。
代表的なデュピクセント(デュピルマブ)は、ガイドラインでも推奨されている治療の一つであり、当院でも状態に応じて導入を検討します。
通常、初回に600mg、その後は2週間ごとに300mgを皮下注射します(年齢や体重により調整)。主な注意点として、目の症状(結膜炎など)が現れることがあるため、気になる症状があれば速やかにご相談いただいています。
○ JAK阻害薬(飲み薬の治療)
かゆみや湿疹が強い中等症~重症の患者様に対応する、お口から飲むタイプのお薬です。
比較的速やかに効果を実感できる点が特徴であり、重症の方への有効な選択肢として位置づけられています。一方で、ヘルペスなどの感染症や採血データの変動が起きやすくなる側面があるため、治療開始前および開始後の定期的な検査と慎重な経過観察が必要です。
※どの治療を選択するかは、重症度、日常生活への影響、持病の有無、通院頻度、注射と内服のどちらがライフスタイルに合うかなどを、患者様と相談しながら決定します。
4. 当院におけるアトピー性皮膚炎治療の流れ
○ 問診・診察:湿疹の場所、強さ、乾燥の程度、日常生活で悪化しやすい背景を確認します。
○ 方針説明:治療のゴール(まず炎症を落ち着かせる ⇒ 徐々に再発を減らす)を共有します。
○ 治療開始:患者様の状態に合わせた保湿剤、外用薬(必要に応じて内服薬)を処方します。
○ 外用指導:適切な薬量(FTU:フィンガーツップユニット)と正しい塗り方を実演・確認します。
○ 定期フォロー:状態が安定した後はプロアクティブ療法へ移行します。必要に応じてバイオ製剤やJAK阻害薬へのステップアップも検討します。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. ステロイドのぬり薬を長く使うと、副作用が心配です。
A. 医師の指示通りに、適切な強さ・部位・期間を守って使用すれば、高い安全性が確認されているお薬です。ただし、強いお薬を自己判断で長期間継続したり、顔などの皮膚の薄い部位に合わない強さのものを使い続けたりすると、皮膚が薄くなるなどの副作用が生じる場合があります。自己判断で急に中止せず、状態を見ながら一緒に調整していきましょう。
Q2. プロアクティブ療法は「治っているのに塗る」ので不安です。本当に必要ですか?
A. 湿疹をくり返しやすい方の場合、一見きれいに見える状態でも、皮膚の奥には炎症が残っています。このタイミングで、よく症状が出る場所に週2回ほど定期的に塗布することで、結果的に再発を大幅に抑えられることが分かっています。「毎日ずっと塗り続ける」のではなく、回数を減らして良い状態をキープするための合理的なアプローチです。
Q3. デュピクセント(デュピルマブ)は、どのような人が対象になりますか?
A. 従来のぬり薬や適切なスキンケアを行っても、十分な効果が得られない「中等症~重症」の患者様が主な対象となります。強いかゆみや湿疹によって、睡眠や仕事、学業などの日常生活に大きな支障が出ている場合に導入を検討します。
Q4. 飲み薬のJAK阻害薬は、誰でも使用できますか?
A. 高い効果が期待できる一方で、感染症のリスクや採血データの変化といった注意点があるため、体質や持病によってはご使用が適さない場合があります。そのため、開始前には必ず必要な検査を行い、治療開始後も定期的なチェックを行いながら安全性を最優先に治療を進めます。
※本ページに掲載されている内容は一般的な情報です。症状が強い場合、急に悪化した場合、かゆみで眠れない場合、お薬が肌に合わないと感じる場合などは、自己判断なさらず早めに受診してください。
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