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川西市の皮膚科・形成外科による解説|有棘細胞癌

クリニックコラム

有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)は、皮膚の表面(表皮)から発生する代表的な「皮膚がん」の一種です。
初期の段階では「赤くカサカサした盛り上がり」「硬いしこり」「なかなか治らない擦り傷や湿疹」のように見えることが多く、放置して進行すると局所で大きくなったり、リンパ節や他の臓器へ転移する可能性があるため、早期発見と適切な外科的手術が大切です。

当院では、形成外科専門医の豊富な臨床経験に基づき、がんを根治するための適切な切除と、傷跡の見た目・機能面に配慮した再建手術を保険診療にて行っております。

当院での診療基本方針

有棘細胞癌が疑われる場合、当院では以下のステップで丁寧に対応いたします。
①視診・生検による確定診断 → ②外科的切除(標準治療) → ③病理検査に基づくフォロー・追加対応
この治療において最も重要なのは、原則として最初の治療で病変を確実に取り切る(R0切除)ことです。

まず行う診断の流れ

正確な診断と適切な治療計画を立てるため、以下の検査を行います。

  • A. 視診・ダーモスコピー検査
    特殊な拡大鏡(ダーモスコープ)を用いて、皮膚表面の構造、境界、潰瘍や出血の有無を細かく観察します。
  • B. 皮膚生検(確定診断)
    癌の可能性がある場合、局所麻酔下で組織の一部を採取し、病理組織検査によって確定診断を行います。病変が大きい場合も、事前の治療計画のために生検を実施します。

当院の標準治療:外科的切除と形成外科的再建

有棘細胞癌の標準的な根治治療は、外科的手術による病変の切除です。当院では形成外科の専門技術を活かし、安全かつ負担の少ない対応を行っています。

1. 安全域を確保した病変の切除

再発を防ぐため、がんの周囲に一定の正常組織(臨床的安全域)を含めて切除します。欧州ガイドライン(2023年)等の最新エビデンスに基づき、低リスク病変では5mm程度、高リスク病変では6〜10mm程度の安全域を目安に丁寧な切除計画を設計します。

2. 形成外科的アプローチによる傷跡の再建

顔面など見た目や動きが重要な部位、または切除範囲が広い場合は、以下の再建法から最適な方法を選択します。

  • 単純縫合: 傷跡が最も目立ちにくく、シワに沿ってきれいに縫い合わせます。
  • 皮弁(ひべん): 周囲の皮膚を移動させて寄せることで、立体感を保ちながら修復します。
  • 植皮(しょくひ): 別部位から健康な皮膚を移植し、欠損部を美しくカバーします。

3. 精密な病理組織検査

切除した組織は顕微鏡で精密に調べ、「完全に取り切れているか(断端陰性)」や「深さ・神経の周囲への広がり」などを厳密に確認します。この結果を踏まえて、その後のフォロー計画を決定します。

追加治療・高次医療機関との連携が必要な場合

病理検査の結果や病変の進行度に応じて、より専門的な追加対応や高度医療機関(基幹病院)との連携を行っております。

■ 主な追加検討・紹介基準

・切除断端に癌が残存している可能性がある場合: 手術が可能な場合は再切除を基本とし、困難な場合は放射線治療等を検討します。
・リンパ節転移が認められる場合: 確定診断の後、適切なリンパ節郭清手術を行うため高次病院へ紹介いたします。
・広範囲の進行・遠隔転移が見られる場合: 放射線治療や免疫チェックポイント阻害薬(PD-1抗体など)を組みあわせた多職種集学的治療が推奨されるため、専門の腫瘍内科がある基幹病院へスムーズに引き継ぎます。

前がん病変・初期病変(日光角化症・上皮内癌)への対応

まだ深い部分まで及んでいない「前がん病変(日光角化症など)」や「上皮内癌」の段階であれば、お身体への負担を考慮して液体窒素による凍結療法などの局所治療を選択できる場合があります。
※なお、すでに深部へ浸潤した有棘細胞癌に対して、安易な焼き切りやレーザー治療などの単純な破壊的処置を標準治療として行うことは推奨されておりません。確実な切除が何より重要です。

再発予防と定期チェック

手術終了後も、局所の再発予防や新しい皮膚がんの早期発見のために、定期的な通院・経過観察をおすすめしています。

  • 全身の皮膚状態の丁寧な確認
  • 手術部位およびその周辺の変化チェック
  • 周辺リンパ節の触診
  • 日常生活における紫外線対策(日焼け止めの使用、帽子・長袖の着用等)のアドバイス

よくあるご質問(Q&A)

Q1. ホクロや湿疹・イボとの違いは?
「なかなか治らない傷」「かさぶたや小さな出血を繰り返す」「短期間で大きくなってきた」「触るとコリコリ硬い」などの症状は注意サインです。数週間から数か月経っても改善しない病変がある場合は、自己判断せずお早めの受診をおすすめします。
Q2. 手術後の傷跡は目立ちますか?
がんを安全かつ確実に取り切るためには一定の切除範囲が必要ですが、当院では形成外科専門医が皮膚のシワの方向(皮膚割線)に沿って切開・精密縫合を行います。お顔など目立つ部位でも皮弁や植皮等の技術を組み合わせ、見た目や機能面の両方に配慮した治療を行います。
Q3. 塗り薬や飲み薬だけで治せますか?
進行した有棘細胞癌に対しては、病変を完全に取り切る外科的切除が基本の標準治療となります。ただし、ごく初期の前がん病変や上皮内癌の段階であれば、症状や部位に応じて液体窒素などを用いた局所治療が適用できる場合もあります。

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