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褥瘡(じょくそう・床ずれ)の治療について

皮膚科コラム

褥瘡(じょくそう・床ずれ)

治療の基本方針

褥瘡(じょくそう・いわゆる「床ずれ」)は、寝たきりの状態や車椅子での長時間の座位などにより、体重で特定の骨の突出部(お尻の仙骨部や、かかとなど)の皮膚が長時間持続的に圧迫されることで血流が途絶え、皮膚やその奥の組織が酸欠を起こして死んでしまう(壊死・潰瘍化する)局所組織障害です。当院の基本方針は、「形成外科における創傷治癒(キズが治るメカニズム)の深い理解と、救急全身管理のエビデンスに基づき、組織の壊死を最小限に抑えてスピーディーな閉鎖(治癒)を導くこと」です。褥瘡は塗り薬を塗るだけでは絶対に治りません。「なぜそこに圧力がかかっているのか」という力学的背景を引き算する除圧(圧力を逃がす工夫)を大前提とし、創面のデブリードマン(壊死組織の除去)と湿潤環境のコントロールを実直に行います。

こんなお悩みはありませんか(チェックリスト)

  • ・在宅介護や施設療養中で寝たきりの家族のお尻や腰の骨の周りが、赤くなって消えない
  • ・赤くなっていた場所が数日で水ぶくれになり、皮がむけてジュクジュクした深いキズ(潰瘍)になった
  • ・キズの底に、黒い硬いかさぶた(壊死組織)や、黄色っぽいドロドロした塊が付着してニオイがする
  • ・他の医療機関で軟膏をもらって毎日塗っているが、キズの大きさが全く変わらず、深くなっている気がする
  • ・自宅での正しい体位交換の方法や、キズ口を悪化させないための安全な洗い方・保護法が分からない

主な特徴・治療法

壊死組織を的確に取り除く「外科的デブリードマン」:キズの中に黒い壊死組織や黄色いドロドロした不要組織が残っていると、それが細菌の温床となり、キズは永久に縮まりません。これまでの豊富な手術経験を活かし、生きた組織を傷つけず、不要な壊死組織だけを専門の器具で痛みなく精密に切除(デブリードマン)します。

 

創傷被覆材(ドレッシング材)による湿潤療法の最適化:ガイドラインのエビデンスに則り、キズの深さや滲出液(汁)の量に合わせて、最適な医療用ドレッシング材や軟膏(親水性軟膏や組織生長促進薬など)を厳選し、細胞が最も増殖しやすい「乾かず、蒸れすぎない」完璧な環境を作ります。

 

外来・在宅を見据えた包括的な除圧指導:褥瘡の根本原因である「圧力」を取り除くため、介護マットレスの選び方、円座の禁忌(エビデンスとして円座は周囲の血流を止めるためNGです)、正しいポジショニングの手順を丁寧にご家族やケアマネジャー様へお伝えします。

治療の流れ(褥瘡治療)

①丁寧な全身の皮膚診察 ➔ 組織深度のステージ判定 褥瘡の部位を細かく診察し、国際的な分類(NPUAPなど)に基づき、ダメージが皮膚の表面にとどまっているか、筋肉や骨の深さにまで及んでいるかを厳密にアセスメントします。

 

②力学的背景(原因)の分析 ➔ 対策説明 現在、寝返りや座る姿勢のどこに過剰な圧力が集中してしまっているかを分析し、キズを治すための大前提である「除圧(圧力を逃がす具体策)」を分かりやすくご説明します。

 

③外科的処置(デブリードマン & 洗浄) キズの治りを妨げている不要な壊死組織を精密に除去。続いて、感染を防ぐために最も重要である「大量の生理食塩水や水道水を用いた、お肌を傷つけない徹底的な微細洗浄」を創面に行います。

 

④最適な創傷被覆材・軟膏による密閉保護 現在のキズの「汁(滲出液)の量」をシビアに計算し、皮膚の再生の足場を構築するための最適な医療用シートや軟膏を選択して、優しく患部をパッキング・保護します。

 

⑤定期的な創面の評価・介護連携 定期的に通院(または状態に応じた管理)いただき、キズが内側からピンク色の良い組織(肉芽)で盛り上がって縮んでいく経過を監視。在宅介護のチームとも情報を共有し、完治まで誠実に伴走します。

  • ・キズの停滞を打ち破る、専門的な壊死組織除去(デブリードマン)技術
  • ・最新の創傷治癒ガイドラインに立脚した、医療用被覆材(ドレッシング)の選定
  • ・保険診療(※在宅での褥瘡管理に関わる処置や、医療用材料の処方はすべて健康保険が適用されます)

よくあるご質問(Q&A)

Q. 褥瘡(床ずれ)のキズ口は、毎日消毒薬を塗って乾燥させた方が早く乾いて治りますか?
A. いいえ、「強い消毒薬をつけること」と「キズを乾燥させること」は、現代の創傷医学(エビデンス)において完全に大間違いであり、治りを劇的に遅らせる原因になります。消毒薬は細菌だけでなく、キズを直そうと必死に頑張っている「ご自身の生きた皮膚の細胞」まで根こそぎ皆殺しにしてしまいます。また、乾燥させると細胞はカチカチに死んでしまいます。正解は、「消毒薬は一切使わず、ぬるま湯や水道水で優しく綺麗に洗い流したあと、医療用の保湿シートなどでキズの表面をジクジクと潤った状態(湿潤環境)に保つこと」です。これにより細胞が活発に動き回り、キズは最も早く綺麗に閉じます。

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