脂漏性皮膚炎の治療について
脂漏性皮膚炎
治療の基本方針
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の分泌が盛んな部位(頭皮、生え際、顔のTゾーン、耳の後ろなど)に、フケのような鱗屑(カサカサした皮むけ)を伴う赤みや痒みが生じる疾患です。当院の基本方針は、「皮膚の常在菌のバランスを整え、皮脂の過剰分泌と炎症を同時にコントロールすること」です。この疾患には、誰の肌にもいるマラセチアというカビ(真菌)が皮脂をエサにして増殖することが深く関わっています。単にステロイドで赤みを抑えるだけでなく、抗真菌薬(カビを抑える薬)を巧みに組み合わせ、毎日の洗髪習慣や生活習慣(食事・睡眠)まで包括的に見直すことで、根本的な治療と再発予防を目指します。
こんなお悩みはありませんか(チェックリスト)
- 毎日きちんと頭を洗っているのに、大きなフケがたくさん出て、頭皮が常に赤く痒い
- 眉毛の間、鼻の周り(小鼻のキワ)、耳の後ろが赤くなり、黄色っぽい油っぽい皮がむける
- 頭皮の生え際や顔のTゾーンが油っぽい(脂性肌)のに、触るとガサガサして痒い
- 疲労や寝不足が続くと、頭の痒みや顔の赤みが一気に悪化する
- 市販のフケ用シャンプーや洗顔料を使っても、一向に症状が改善しない
主な特徴・治療法
抗真菌薬とステロイドのハイブリッド治療:マラセチア真菌の増殖を抑える「抗真菌外用薬(ニゾラールなど)」をメインに据え、赤みや痒みの強い初期段階のみ、安全なマイルドなステロイド外用薬を短期間併用して速やかに不快感を抑えます。
頭皮に適したローション剤の選択:髪の毛があって薬が塗りにくい頭皮に対しては、ベタつかず毛根の奥までしっかり行き渡る液体(ローションタイプ)の外用薬を処方し、ストレスなく治療を継続していただけます。
医学的根拠に基づく洗髪・洗顔指導:ゴシゴシ擦りすぎる洗髪は頭皮を痛め、油分を落としすぎると逆に皮脂分泌が増えてしまいます。正しい泡の立て方や、適切なシャンプーの成分について詳しくお伝えします。
治療の流れ(脂漏性皮膚炎)
① 専門医による患部の診察
頭皮や顔の赤みの分布、フケ・皮むけの状態を細かく観察します。他のフケの原因となる疾患(尋常性乾癬や頭部白癬など)ではないか、専門医の目で厳密に鑑別します。
② 病態の解説(カビと皮脂の関連性の説明)
皮膚の常在菌(マラセチア)がどのように悪さをしているか、なぜ皮脂のコントロールが必要なのかを、医学的なメカニズムに沿って分かりやすく説明します。
③ 抗真菌薬 & 消炎外用薬の処方
カビの増殖を抑える抗真菌クリーム(またはローション)を処方します。炎症が強い部位には、必要最小限のステロイド外用薬を適切に組み合わせます。
④ 毎日のヘアケア・スキンケア指導
シャンプーの際の適切な湯の温度(熱すぎると悪化します)、爪を立てずに指の腹で洗う具体的な方法、日常生活でのビタミンB群の摂取などについて丁寧に指導します。
⑤ 定期的な経過観察・再発防止
赤みやフケが落ち着いた後も、抗真菌薬をしばらく継続することで、常在菌のバランスを安定させ、数ヶ月〜数年単位での再発のない健康な地肌を維持します。
- 抗真菌薬を軸とした、根本原因(常在菌)に迫るアプローチ
- 髪の毛があっても塗りやすいローション剤などの適切な選択
- 保険診療
よくあるご質問(Q&A)
Q. 脂漏性皮膚炎は、人にうつる病気ですか?原因は不潔にしているからでしょうか?
A. いいえ、他人にうつることは絶対にありません。原因に関わっているマラセチア真菌は、健康なすべての人の皮膚に100%存在する「常在菌」です。不潔にしているから発症するのではなく、体質的な皮脂の分泌過多、寝不足、ストレス、ホルモンバランスの乱れなどによって、この菌が一時的に増えすぎてしまい、その代謝産物がお肌を刺激して炎症を起こしているだけです。ご自身を責める必要は全くありません。
Q. フケが気になるので、1日に2回念入りにシャンプーしても良いですか?
A. 逆効果になってしまうため、シャンプーは必ず「1日1回」にとどめてください。フケを落とそうと1日に何度も洗ったり、爪を立ててゴシゴシ強く擦ると、頭皮の必要なバリア機能まで破壊され、乾燥を補おうとして体が余計に皮脂を分泌するという悪循環に陥ります。ぬるま湯(38度前後)でしっかり頭皮をふやかした後、シャンプーの泡を指の腹で優しく揉み込むように洗い、優しくしっかりすすぐことが基本です。