虫刺症(虫刺され)の治療について
虫刺症(虫刺され)
治療の基本方針
虫刺症(ちゅうししょう)はいわゆる「虫刺され」のことで、蚊、ダニ、ブユ(ブヨ)、毛虫、ハチなどの昆虫に刺されたり接触したりすることで、皮膚に赤み、腫れ、水ぶくれ、強い痒みや痛みが生じる疾患です。当院の基本方針は、「虫の種類とアレルギー反応の出方を正確に見極め、痕(色素沈着や痒疹)を残さないために初期消炎を徹底すること」です。虫刺されは単なる一過性の肌トラブルと軽視されがちですが、掻き壊して細菌感染を起こすと「とびひ(伝染性膿痂疹)」になったり、数ヶ月消えない硬いしこり(痒疹)へ移行してしまいます。救急科や皮膚科の豊富な臨床経験から、迅速かつ適切な消炎処置を行います。
こんなお悩みはありませんか(チェックリスト)
- キャンプや草むしりの後、足首まわりがパンパンに赤く腫れ上がり、痛痒くてたまらない
- 庭木の手入れをした後、首や腕に細かい赤いブツブツが帯状に広がり、猛烈にピリピリ・痒い
- 蚊に刺された場所を何度も掻いていたら、ジュクジュクしてきて周囲に水ぶくれが広がってきた
- ハチに刺されてしまい、激しい痛みや赤み、腫れがみるみるうちに広がっている
- 虫に刺されたあとが何ヶ月も茶色く残ってしまい、ガサガサしたしこりになって消えない
主な特徴・治療法
虫の特性に合わせた的確な外用選定:蚊やダニによる一般的な痒みにはマイルドな消炎、ブユや毛虫(ドクガの毛など)による激しい過敏症状や腫れに対しては、痕を残さないために初期から十分な強さのステロイド外用薬を適切に使用します。
二次感染(とびひ)や痒疹への移行予防:特に小さなお子さまは痒みを我慢できずに掻き壊しやすいため、抗ヒスタミン内服薬(痒み止め)を早期に併用し、皮膚のバリア破壊と細菌感染を未然に徹底防衛します。
ハチ刺傷への迅速な救急・医療対応:ハチに刺された場合の局所処置はもちろん、全身的なアレルギー反応(アナフィラキシー)のリスクについても、救急専門医としての知識のもと、安全に観察・対応いたします。
治療の流れ(虫刺症)
① 問診による原因虫の推定・診察
いつ、どこの場所で(山、庭、室内など)、身体のどの部位を刺されたかを詳しく伺い、皮膚の赤みや中央の刺し口(吸口)の状態を注意深く診察します。
② 症状(即時型・遅延型反応)の解説
虫刺され部の痒みには、刺されてすぐ出る反応(即時型)と、翌日以降に強く出る反応(遅延型)があることを説明し、今後の経過の見通しをお伝えします。
③ 最適な外用薬 & 痒み止めの内服処方
炎症を速やかに沈める適切なランクのステロイド外用薬を処方。腫れや痒みが強い場合は、お体に合わせた安全な抗アレルギー薬を内服として組み合わせます。
④ 掻き壊し防止のスキンケア・処置指導
小さなお子さまやジュクジュクしている患部に対して、ガーゼや専用の包帯で優しく保護し、直接爪が当たらないようにする具体的な方法をアドバイスします。
⑤ 経過確認・アフターケア
数日から1週間ほどで多くは綺麗に治癒します。万一、硬いしこり(痒疹)へ移行しかけている場合は、お薬を調整して最後まで完全に治しきります。
- ブユや毛虫などの激しい炎症を瞬時に抑え込む、シャープな外用療法
- お子さまの「とびひ」や「生涯残る傷あと」にさせないための予防措置
- 保険診療
よくあるご質問(Q&A)
Q. 子供が虫刺されを掻き壊して、ジュクジュクした傷が周りに飛び火してきました。受診すべきですか?
A. はい、一刻も早く受診してください。これは「伝染性膿痂疹(とびひ)」という、掻き壊した傷口に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して起こる病態です。その名の通り、触った手で他の場所を触ると、全身へあっという間に水ぶくれやジュクジュクが「飛び火」します。この状態になると、虫刺されの薬(ステロイドのみ)では治らず、適切な医療用抗生剤(抗菌薬)の外用や内服が必要になります。
Q. 昔、ハチに刺されたことがあります。また刺されたら危ないと聞きましたが本当ですか?
A. 本当です。ハチに一度刺されると、体の中にそのハチの毒に対するアレルギーの抗体(IgE抗体)が作られることがあります。その状態でもう一度ハチ(特にスズメバチやアシナガバチ)に刺されると、数分から数十分の間に全身のじんましん、血圧低下、呼吸困難などを引き起こす「アナフィラキシーショック」という命に関わる深刻な急性アレルギー症状を起こすリスクが高まります。ハチに刺されて少しでも気分が悪くなったり、息苦しさを感じたりした場合は、救急医療体制のもとで直ちに受診する必要があります。また、リスクの高い方には緊急用の自己注射薬(エピペン)の処方も当院でご相談いただけます。