とびひ(伝染性膳痂疹)の治療について
とびひ(伝染性膿痂疹)
治療の基本方針
伝染性膿痂疹はいわゆる「とびひ」のことで、あせも、虫刺され、湿疹などを掻き壊した小さなキズ口に、皮膚の常在菌である「黄色ブドウ球菌」や「連鎖球菌」などの細菌が入り込んで増殖する、お肌の急速な細菌感染症です。 細菌が作り出す毒素によって、皮膚にジュクジュクとした水ぶくれ(水疱)や厚いカサブタ(痂皮)ができ、その汁を触った手で他の場所を触ると、文字通り火事の「飛び火」のように、あっという間に全身へ水ぶくれが拡大します。当院の基本方針は、「救急・形成外科での徹底した感染症管理のエビデンスに基づき、原因菌に最もシャープに効く医療用抗菌薬(抗生剤)を的確に選択し、最短期間でジュクジュクを乾燥させて周囲への感染を完全に食い止めること」です。スピードが命の疾患です。
こんなお悩みはありませんか(チェックリスト)
- 虫刺されやアトピーのキズを子供が掻いていたら、急に周囲が黄色い汁でジュクジュクしてきた
- 水ぶくれが破れたあとの赤い傷口が、数日でお腹や腕、顔などあちこちに飛び火して増えている
- 湿疹の表面に、ハチミツが固まったような分厚い黄色〜茶色のカサブタ(痂皮)がびっしり付いている
- 市販の消毒液やただの湿疹用の塗り薬(ステロイドなど)を塗っているが、一向にジュクジュクが止まらない
- とびひが周囲のお子さまにうつらないか心配で、早く学校や保育園に登園できる状態にしたい
主な特徴・治療法
- 原因細菌を狙い撃つ「的確な抗菌薬(抗生剤)治療」: 湿疹の薬(ステロイドのみ)を塗ると、細菌に対する免疫が落ちてとびひは爆発的に悪化します。当院では細菌を殺すための的確な「医療用抗生剤外用薬」をファーストラインとし、範囲が広い場合はガイドラインに則って安全な抗生剤の内服薬(シロップや錠剤)を短期間併用して、体の内外から一気に細菌を全滅させます。
- 耐性菌(MRSAなど)を意識した慎重な薬物選定: 近年、一般的な抗生剤が効きにくい耐性菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌:MRSA)による難治性とびひが増加しています。これまでの豊富な臨床データに基づき、無駄な薬を漫然と出さず、効き目をシビアに見極めます。
- ジュクジュクを速やかに乾燥させる特殊ドレッシング指導: 汁(滲出液)が出ている間が最も感染力が強いため、お薬を塗ったあと、下着に汁がつかないようにガーゼや専用の医療用ネットで患部を物理的に完全密閉・保護するスキンケアを徹底指導します。
治療の流れ(とびひ・伝染性膿痂疹)
① 迅速な皮膚診察 ➔ 細菌感染の確定 水ぶくれの形やカサブタの色調を注意深く診察。単なる湿疹やヘルペス感染症などではないことを、専門の目で厳密に確認し、とびひ(水疱性または痂皮性)の診断を確定します。
② 感染拡大を防ぐための病態説明 なぜ汁がつくと他の場所に広がるのか、その強力な感染力(毒素のメカニズム)を親御様やおひとりの患者様へ分かりやすく説明します。
③ 医療用抗菌外用薬 & 内服抗生剤の的確な処方 原因細菌を根絶する抗菌軟膏を処方。ジュクジュクの範囲が広い場合や、軽い発熱・リンパ節の腫れがある場合は、安全に計算された抗生剤の内服を的確に組み合わせます。
④ 汁を飛び散らせないための「ガーゼ包帯」実技指導 お家でのシャワーによる優しい患部の洗浄方法(石鹸をしっかり泡立てて手で優しく洗い、しっかり流すこと)と、お薬を塗布したあとに汁を外へ漏らさないための正しいガーゼ固定の手順をお教えします。
⑤ 経過観察・ジュクジュクの完全乾燥確認 数日から1週間ほどで、ジュクジュクした傷口が乾き、新しい健康な皮膚が張ってきます。周囲への感染力が完全に無くなったことを確認して、登園・登校の許可(安全宣言)を出します。
- 原因細菌の増殖を根元から断つ、エビデンスに基づく強力な抗菌・抗生剤療法
- 衣服への張り付きや他者への感染をシャットアウトする、確実なガーゼ保護指導
- 保険診療
よくあるご質問(Q&A)
Q. とびひ(伝染性膿痂疹)がある間は、お風呂に入っても大丈夫ですか?
A. シャワーやお風呂で体を洗うことは、皮膚の細菌の数を減らすために非常に重要ですが、「湯船に浸かること」は絶対に避けてください。 汁が出ている状態で家族と同じ湯船に入ると、お湯を介してご家族へ感染することがあります。治療中は、石鹸をしっかりと泡立てて、患部をご自身の「手のひら」で優しく包み込むように丁寧に洗い(ジュクジュクの汁やカサブタの周りを不潔に残さないことが大切です)、ぬるま湯のシャワーで完全に洗い流してください。洗ったあとは、家族とは絶対に別の清潔なタオルで水分を優しく吸い取り、すぐに処方された軟膏を塗布してください。